つぶし率の定義

つぶし率は、自由状態のOリング線径が組付け後にどれだけ圧縮されたかを表す割合です。

つぶし率(%)=(自由線径 − 組付け後の溝高さ)÷ 自由線径 × 100

ラジアルシールでは軸・孔と溝底の間隔、フェイスシールでは接触面と溝底の軸方向間隔が溝高さになります。

なぜ公差計算が必要か

公称寸法だけの計算では、加工公差とOリング寸法公差が同時に不利側へ重なる条件を見落とします。線径が小さく溝が深い条件では最小つぶし率が下がり、線径が大きく溝が浅い条件では最大つぶし率が上がります。

最小条件と最大条件を別々に確認し、どちらか一方だけを満たす設計にしないことが重要です。

計算例

自由線径が 3.53 mm、組付け後の有効溝高さが 2.80 mm の場合、名目つぶし率は次のようになります。

(3.53 − 2.80) ÷ 3.53 × 100 = 20.7%

ただし、この 20.7% だけでは設計を評価できません。線径公差が ±0.08 mm、溝高さ公差が ±0.05 mm なら、最小つぶしは「線径最小・溝高さ最大」、最大つぶしは「線径最大・溝高さ最小」の組合せで再計算します。Oリングと加工寸法を同じ方向にずらすのではなく、それぞれの不利側を組み合わせるのが要点です。

静的・動的・フェイスシールの違い

  • 静的ラジアルシールでは、漏れ防止に必要な接触を確保しながら、偏心と圧力によるすきま拡大も確認します。
  • 往復動シールでは、つぶし過多が摩擦、発熱、摩耗へ直結するため、表面粗さと潤滑を同時に評価します。
  • フェイスシールでは、締結後の軸方向高さ、フランジ変形、内圧・外圧によるOリングの位置決めを区別します。

つぶし率が低すぎる場合

接触圧が不足し、温度変化、圧力変動、圧縮永久ひずみの進行後に漏れやすくなります。表面粗さや偏心の影響も受けやすくなります。

つぶし率が高すぎる場合

組付け力、摩擦、発熱、内部応力が増えます。動的シールでは摩耗やスティックスリップ、静的シールでは圧縮永久ひずみや充填過多のリスクにつながります。

計算ツールで確認する

ラジアル静的シール計算ラジアル動的シール計算フェイスシール計算では、名目・最小・最大の条件を同時に表示します。結果は一次設計確認として使用し、最終仕様は適用規格、材料メーカー資料、実機試験で確定してください。

よくある間違い

  1. 直径すきまを片側すきまとして入力する。
  2. 「+公差/−公差」に負数を入力し、方向を二重に反転させる。
  3. 熱膨張と媒体膨潤を考慮せず、室温の名目値だけで判断する。
  4. つぶし率だけを合わせ、溝充填率、伸び率、押出しすきまを確認しない。

つぶし率は単独の合格条件ではありません。Oリング溝充填率寸法規格も合わせて確認してください。